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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(す)325号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

本件異議申立の要旨は、「申立人は右当裁判所の決定を不服として即時抗告の申立をしたのであるがこれに対し当裁判所の決定がないのであるから右事件は未だ確定しないものというべきである、然るに申立人は昭和二六年八月二七日係官から刑執行の指令を受けたのであるがその執行の理由が納得できないから本件異議申立に及んだ次第である」というのである。

然し、裁判の執行を受ける者の執行に関する異議の申立は刑訴五〇二条により刑の言渡をした裁判所にすべきところ、右にいわゆる言渡をした裁判所とは執行すべき刑の言渡をした裁判所を指称すること明らかである。そして本件被告事件については昭和二四年七月九日東京地方裁判所に於て懲役六年(未決六〇日通算)の言渡をし、同二五年二月二七日東京高等裁判所に於て控訴棄却、同二六年八月九日当裁判所に於て上告棄却(但し当審未決三〇〇日通算)の各言渡をしたもので、当裁判所に於てはもとより刑の言渡をしないのであるから、執行に関する本件異議申立は刑を言渡した東京地方裁判所に対しすべきものである。されば本件異議申立は結局不適法であるから全裁判官の一致で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎)

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